「この体験記は、GX-100燃料噴射エンジンの共同開発元(現在は取り扱いされていません。)である、日晴金属株式会社の若手社員の方によるものです。」
FCデザイン
(VOL.4)
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平成15年2月 雨
日晴金属株式会社 八尾事業所
体験報告 技術部 堀 雄二
今日はあいにくの雨ですが、そんな事にはめげずに頑張ります。
今回は、吸入空気量を吸入空気圧力とエンジン回転数から推定する
スピードデンシティ式(Dジェトロ方式)でトルク測定できるタイプ(フライホイール加速方式)
Ver.2-1を使用します。
注意1. 付属のCD−ROMの中に入ってあるデータロガー用ソフト
「xDataAccessPlatform」は事前にインストールしておいてください。
※ 現在のバージョンではロガーソフトウエアを一部変更しています。
(FCデザイン補足)
内容的には、
1.ECUの基本噴射量設定を標準噴射量データ変更する方法
2.データロギングの方法
を報告してみたいと思います。
おー、かなり本格的!!!
どうなることやら・・・
では、早速やってみます!
1.ECUの噴射量設定データを標準噴射量データに変更する方法
エンジンの電源を「ON」にして、PC接続ケーブルをECU側に接続し、
「Setting Workbench」を起動します。
まずCOM PORTを選択します。
(※使用するパソコンによりCOM PORT番号が異なるので事前に確認しておいてください。)
次に画面左上の「受信」ボタンを押します。
すると現在のECUのMAPデータが送信され、どのような状態になっているかわかります。
かなりMAP変更されているのがよく解ります。(緑色印)
早速、基本噴射量に変更してみたいと思います。
画面左上の「開く」ボタンを押すと、
付属のCD−ROMの中に「GX100Dジェトロ基本噴射マップ」というファイルがあります。
(※必ず「Setting Workbench」上よりファイルを選択してください。)
そうすると、ECUに「基本噴射マップ」のデータが送信され、
ECUは基本噴射量の状態に戻りました。(完了)
ほらねっ!!
2.データロギングの方法
基本噴射マップに戻したところで、今回は噴射量調整を0.70(リーン状態)と1.30(リッチ状態)の
2通りの状態で同一の実験を行い、ロギングされた軸トルク・出力を簡単に比較してみたいと思います。
まず、PC接続ケーブルをECU設定用(白テープ巻)からデータロギング用(赤テープ巻)に接続しなおします。
それでは、エンジン始動!!
今日も快調です。
データロギング用ソフトの「xDataAccessPlatform」を起動します。
【補足】 ロギングしたデータ(r-Data)はxDapPc.exeで起動するように、あらかじめ関連付けさせていないときちんとデータ結果が検証できません。
その方法はこちらから。
そして左上の「Data Recieve」ボタンを押します。(赤丸印)
(※ファイル→データ受信 でも可)
次に、COM PORT番号を選択しOKします。
「NEXT」ボタンを押すと、コメント入力の画面が出てきます。
注意2.このコメントは保存するファイル名ではなく、
ロギングするデータを解りやすく区別する為のコメントです。
今回は、2通りの状態で行なうので、
まず初めに「一回目の試験!(噴射量調整0.70の時)」と入力します。
すると、現在のエンジンの運転状態がわかる、リアルタイムデータが表示されます。
注意3.A/Fセンサのデータはきちんと補正されておりません。
※ 現在ではオプション選択時にリニアセンサの表示が可能であるようにして出荷しています。(FCデザイン補足)
実験開始!!
今回はアイドリング状態からレブリミット回転数3600rpmまでのデータを測定します。
(現在レブリミッタを3600に設定しています。)
エンジンの操作は全閉から全開に一気に開き、レブリミットまで到達するまでのデータをロギングします。
(手順)
@電源「ON」、エンジン始動!!(全閉)
A「記録開始」ボタンを押します。するとデータを受信しはじめます。
Bスロットル全開!!(約30秒くらい)
Cレブリミットに到達したら、スロットルを全閉!
D「記録停止」ボタンを2回押します。
Eすると、いまロギングしたデータ(414個)を受信し始めます。
F電源「OFF」、エンジン停止!ロギング終了。
これで、ロギング作業は終了です。
すると左下のファイル一覧にいまロギングしたデータファイルが出来上がります。
ファイル(緑丸印)をクリックすると、その時のデータが右側にグラフ化されます。
ちなみに下のグラフは、横軸が時間で表示されたものです。(青丸印)
(※表示→グラフ横軸→時間 か、赤丸印を押して切り替えする。)
下のグラフは、横軸が回転速度で表示されたものです。(桃色印)
(※表示→グラフ横軸→回転速度 で切り替えする。)
データ数値欄のグラフ線をクリックすると右側にグラフが現れます。
では、問題なく終了したので、ロギングしたデータを簡単に分析してみます。
(噴射量調整0.70なので、空燃比A/Fは21.4です。)
今回はスロットル全開時の、軸トルクと出力の最大値で比較します。
回転速度3386(rpm)・噴射時間18.32(msec)の時に、
最大軸トルク 0.47(kgf・m)
最大出力 2.20(PS)
という結果がわかりました。
つぎに、噴射量を多めにして、データロギングしてみます。
コメントに「一回目の試験!(噴射量調整1.30の時)」と入力します。
先程と同様の手順で進めていきます。
下のグラフは横軸が時間で表示されたものです。
下のグラフは横軸が回転速度で表示されたものです。
同様に、ロギングしたデータを詳しく分析して見ます。
(噴射量調整1.30なので、空燃比A/Fは11.5です。)
回転速度3567(rpm)・噴射時間28.56(msec)の時に、
最大軸トルク 0.64(kgf・m)
最大出力 3.19(PS)
という結果がわかりました。
2通りの実験結果を比較すると、ほぼ同じ回転速度にもかかわらず、
最大軸トルクと最大出力に、大きな差が生じました。
(軸トルクは1.36倍、出力は1.45倍)
今回の実験では、ほぼ同じ回転速度でも噴射量を多くした場合の方が、
エンジンの能力を出しきったという結果が読み取れます。!(^0^)!
今回は、リーン状態(A/F=21.4)とリッチ状態(A/F=11.5)の2通りの実験をデータを比較して、
定量的に比較できてとても満足出来ました。
次回はロギングしたデータを、さらに詳しく分析して報告してみたいと思います。
また、近日中にレポート致しますので、お楽しみに !(^0^)!
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