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FancyCarol
'92 SHELL MILEAGE-MARATHON AUSTRALIA
'92 SHELL MILEAGE-MARATHON AUSTRALIA への参戦記
大会公式結果 * Official Results
レース参戦概要 * Outline of Our Challenge
写真集 * Photos
Special thanks!この度の海外遠征に対し、御声援、御協力を頂きました皆様に厚くお礼申し上げます。
Thank you very much for all your help and cheering to our activity and trip.

Lindsay Derriman and his family 三栄電気システム株式会社 マツダ株式会社 MAZDA AUSTRALIA
初めての海外遠征で3位入賞!! 記録932.51km/L
レース参戦概要 outline of our challenge
1. いきさつ
「あなたのプランがグランプリに推薦されましたので、確認をとりたいのですが・・・」と明るい声の女性の電話を受け取るとそれまでの緊張から一気 に開放されて「やったー!」という喜びがこみ上げてきた。
というのも、オーストラリアンマイレッジマラソン(8/27〜30)に出場するためには、夢コン受賞の確認をとる前に、エントリーの申請、マイレッジカーの船送の予約 と現地荷受け人の依頼、現地作業場所の確保、格安航空券の予約など、色々な 準備を済ませておく必要があった。このためレースのオーガナイザーに荷受け人の依頼をしたところ、初の外国人チームの参加をすごく歓迎してくれ、No.1 のゼッケンはくれるわ、オーストラリアマツダには協力依頼してくれるわ、必要なら通訳も手配すると言ってきた。
この時点ではまだ、受賞したら参加するとしか言っていなかったのに、まるで私の参加が確定しているかのごとく 次々と受け入れ態勢を固めていってくれたのである。その上、フィーチャーし たいから経歴と写真を送ってくれ、TV取材を準備しているとまで言ってきている。ここまで歓迎してくれたら、「たとえ、受賞しなくても行くしかない・・・」と思い始めつつも、でも、この忙しい時に仕事を同僚に押しつけて、趣味のために2週間も休めないと、自己葛藤していたのである。
5/28に夢コンのプランを提出してからこの電話が入るまでの1ヶ月間は、「堂々と有休を取りたい。そのためには、佳作でいいから何とか入賞してほしい」と胃がきり きり痛む日々を過ごしていたのを思い出す。それ故、グランプリ受賞の一報 は、まるで1億円の宝くじが当たったぐらいうれしかった。
2. 世界記録を目指して
世界一の超低燃費カーを作り、ギネスブックに載せるというのが、私の夢の一つであり、ライフワークとして取り組んでいる。その検証の場として、国内 のマイレッジマラソンに参加して、今年で5年目になる。
鈴鹿サーキットにおいて、約500台が出場する年1回のお祭りに初回が10位、最高が7位と毎年上位に入ってはいるものの、なかなか表彰台には上がれない。毎回優勝する と言って未だに優勝したことのない私は、クライングウルフの異名を持つが、至って本人は真剣勝つ自信を持っている。というのも学生時代に初めて製作したマイレッジカーを使用し、卒論を利用して車両の走行抵抗及びエンジンの性能測定を行い、そのデータに基づいて今の車両のスペックを設定しているからだ。
平たく言えば、平均的なマイレッジカーの場合、走行抵抗の約7割が空気抵抗なので、空気抵抗を極力抑えるようにできるだけ小さく滑らかな形状に作れば、確実に1000km/l以上の燃費が出せるのだ。現に今回出場した車で、過去、平坦路を走行して、1500km/l前後の燃費が実証されている。
マイレッジマラソンでは、作り手の優劣で勝敗が決まるため、工学ゲームと いわれている。そして、コースから見れば大別して2種類あり、1つは、日本の鈴鹿サーキットのようにコースが急勾配で高低差が大きいもの、もう一つは、イギリスのシルバーストーンサーキットのように、ほぼ平坦なもの。
前者は、下りでスピードが上がったときに、空気抵抗が大きくなるため、エネル ギーロスして記録が伸びない。後者は、平均したスピードで走れるため好記録が期待できる。
現在の世界記録は、このシルバーストーンサーキットで樹立している。
そこで、我がチームは、夢コン期間中に開催される中で、比較的後者に近いオーストラリアのアマルーパークでのマイレッジマラソンで実力を試す ことにした。
3. いざオーストラリアへ
真夏の日本を後にして、南へ8000km。真冬のシドニーは、日本と赤道を境にしてほぼ正反対に位置している。
8/21空港内で軽い朝食をすませ、空港の外に出ると、真冬の冷たい空 気が、私の身を引き締め「ようし、やるぞ!」という気持ちにさせてくれた。
今回の渡豪は、私とドライバーであるかみさんの2人だけである。一緒に行く はずだったメンバーたちは、マイホームや新車購入で、旅費がつくれず、不参加となった。
従って、今まで、みんなで協力してきた成果が、二人の数日間の活動の如何による責任重大な渡豪となった。
ホテルに到着し、早速今回の活動拠点となるオーストラリアマツダのオフィスへ行くと、スタッフ全員が暖かく迎えてくれた。レースのオーガナイザー側からもスタッフが来てくれて、事前車検も行い、今後の活動について打ち合わせを行った。
オーストラリアマツダ のバックアップにより、現地での不安は解消されていった。
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写真集 Photos
8/22 昨日FANCY CAROL号(我がチームのマイレッジカーの名称)を搭 載しておいたプロシードに乗り込み、TV、新聞取材のためオペラハウスへ出発。
現地に到着し、FANCY CAROL号をステージまで運ぶ途中で、行き交う人達からも美しいと賞賛され、鼻高々となってしまった。
ボディー製作を協力して下さったデザイン部の皆さん、本当にありがとうございました。そして、操り 人形のように、いろんなポーズを取らされた取材も無事終了した。
8/24〜26 オフィス内でレースのレギュレーションにあわせるため、痛んでいたボディの修復、車両及びエンジンの調整を行った。最後にアマルーパークは路面の凹凸が大きいため、ボディー底面と路面が接触するかも知れな いと言われたので、アマルーパークへ車両を持ち込んだ。惰行で路面との接触がないことを確認して一安心。
8/27 公式練習1日目。車検を無事すませ、初走するためコースにファ ンシーキャロル号を持ち込んだ後、練習に没頭する現地チームの車両の振動を見て、ぞっとしてしまった。ロードクリアランスを確認したときより、実走行では、高車速のため、車体の振動が大きいのだ。
もし擦ったら、フレームとボディを切り離して、各々を曲げて切断し、再度、張り合わせる大作業になってしまう。
何とか擦らないでくれと、おそるおそる走行させると、”ガリッ”と いう音がし、車速が明らかに落ちるのがわかった。
公式練習は、今日と明日の2日間しかないため、キャブレター調整とドライバーの練習を考えると、今日 走りこんでおく必要がある。
幸い、車体が擦っても何とか走れる状態なので、とにかく本番と同じ20周走行させることにした。
走行後ピットに入り燃費を計測すると、たったの600km/lしか走っていない。2000km/l前後を期待して いたのに、これには愕然としてしまった。
気を取り直して、燃費悪化の原因を探していると、リアタイアがパンクして空気がほとんど無くなっているではないか。
また、点火プラグを取り外してみると、失火気味のエンジンの運転状態から燃料が薄くなっていると予想していたのに、濃い時と同じように真っ黒になっていた。日本ではいつも真っ白に焼けているのに、何が違うのかわからない。とにかくオフィスへ持ち帰ってボディの改造とパンクしたタイヤの交換をすることにした。
深夜までの作業により、何とか明日の午後から練習走行できるところまで修理できた。
8/28 昨晩、ボディとフレームを張り合わせた接着剤が乾いたのを確認して、アマルーパークへ向かった。
今にも雨が降りそうな曇天の中、あわただしくコースインし、車をスタートさせた。ボディーは、まだ若干擦るものの、もう少し削れば擦らなくなる程度なので、一安心。走行直前に十分暖気をしないと、初めの数周失火することもわかった。
2日目の燃費は、750km/lだった。
にわか雨が通り過ぎた後、3日目は、十分暖気をしてからスタートした。 結果は、800km/l。まだまだ悪いが時間が来たので練習走行はこれで終わり、 後は本番を待つのみとなった。
8/29 今日の。ストリートコミューター(一般車に近い2人乗車)のレースが行われるため、オフィスでエンジン調整、タイヤ交換、ボディの再修 正を行った。
8/30 レース当日、緊張気味に本番前の車検を一番に受け、十分に暖機 してコースインしようとしたら、テレグラフミラー紙の写真撮影とドライバーのTV取材が突然入ってきた。
早く終われといらいらしていると、”You are star.”と踊らされたものだから、これがなんと20分もパクパク受け答えをしている。”Not now.”いい加減に断れといいに行こうとしたら、帰ってきた。
かみさんに一渇入れて、バッテリーを再充電して、エンジンを暖機し、あわただしくコースイン、スタート。 強風の中、無事20周を終え、オフィシャルの計測を受けると、燃料消費量は、過去最低、おそらくオーストラリアの新記録になるだろうといわれて一安心。昨年までの記録は926km/lで、消費量から計算すると940km/lは走っていた。
かみさんと喜んでいると、出された公式結果は、835km/lとがっくり、なんとファンシーキャロル号は、エンジンの横に燃料タンクがあるために、エンジンの発熱によって燃料が膨張した分、燃料消費量が少なく見えたのだ。
この間、現地チームの No.1とNo.2は1000km/l前後のナショナル記録を叩き出し、我がチームは3位になってしまった。
本番は3回コースを走り、最も良い燃費が記録されるため、まだまだチャンスがあ る。気を取り直して、燃料を少し薄くセットして、2回目のトライをするが、記録は、伸びなかった。
燃料のセッティングが依然としておかしいので、3回 目は、キャブレターを新品に交換することにした。
ピット内でセッテイングし直してコースイン。帰ってきた車の燃料タンクを見るとちゃんと同じように減っている。
もうここまでかと思っていたら、この時だけ何故か計測器が故障したため記録が測定できず、再走行となった。
やった、もう一度トライできる と、心の中で大喜びし、もうくたくたになっている自分とかみさんを頑張れと励まして、本当に最後のスタートとなった。
加速の鋭くなった前走行状態から、燃料が濃くなっているのがわかっていたので、薄くなるようにセットし直し、車をスタートさせた。
周りは薄暗くなっており、強風が依然として走行を 拒むかのように冷たい風を吹き付けている。既に終了した多くの現地チームの 注目の中、1周1周、周回して行くドライバーに、速度調整を手で合図しなが ら、無事20周走ってくれと祈り続けた。
最後の周を終え、計測結果を息をのんで待っていると、932.51km/lと発表された。114台中総合3位となった。
やっぱりだめだったか。無念だ、と掲示された記録をじっと見つめていると、多くの他のチームのメンバーから、”Well done.”と握手を求められたり、抱 き合いに来たり、驚くほどの祝福の歓迎を受けた。
素直に喜ぼう。そう思いかみさんとともに、今度は自分たちから進んで握手し、参加チームの健闘を称え合った。
表彰台に乗り、3位の賞状と全チームの祝福の歓声を受けた時、「も う一度初めからやり直すつもりで頑張ろう。そしていつか世界記録を作ってやる。」と心の中で誓った。
 
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